恋
神父様の誓いの言葉が終わると、指輪の交換だ。

指輪はシンプルなシルバーリングだった。

朝比奈さんがあたしの左手をとって薬指に指輪を通そうとした…が、
「あっ」

彼の手から指輪が落ちてしまった。

一瞬、何が起こったのかよくわからなかった。

朝比奈さんは戸惑いながらも、足元に落とした指輪を拾った。

一見余裕そうに見えていたけれど、彼もあたしと同じように緊張していたみたいだ。

「欣一さん」

あたしが声をかけたら、
「ごめん、小春ちゃん」

朝比奈さんは返事をして気を取り直してくれた。

彼の手によって、あたしの左手の薬指に指輪が通された。

ちゃんとサイズを図ったと言うこともあってか、指輪は難なくとあたしの指に収まった。

その後であたしも彼の左手をとって、薬指に指輪を通した。
< 267 / 275 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop