「きゃーっ」

「わーっ」

あちこちから女性客の歓声があがった。

誰がブーケを受け取ったのだろうかと確認するために後ろを振り返ったら、
「あっ…」

驚きのあまり、あたしは目が点になった。

「神様って、何を考えてるかわからないよね…」

朝比奈さんも驚いているようだった。

「えっ、僕ですか?」

あたしが投げたブーケが向かった先は、伊勢谷さんの手の中だった。

次に結婚するのは、どうやら伊勢谷さんになってしまったようだ。

「まあ、いっか…。

田ノ下さん、ありがとうございまーす」

伊勢谷さんがブーケを見せながら、あたしにお礼を言った。

「受け取った以上は幸せになってくださいねー」

そう言い返したあたしに、
「はーい」

伊勢谷さんは返事をした。
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