恋

「な、何をしているんですか、もう…」

あたし、迎えにきてなんて一言も言っていないのに…。

なのに、この人は心配だからと言う理由でわざわざ迎えにきた。

先に寝てと言ったのにも関わらず、車に乗ってあたしの迎えにきた。

あまりの行動力に呆れていたら、
「早く帰ろうか？」

朝比奈さんが言ったので、あたしは返事をすることしかできなかった。

あたしが助手席に乗ってシートベルトを締めたのを確認すると、車が動き出した。

本当に、何をしてくれているのよ…。

そう思いながら、チラリと運転をしている朝比奈さんに視線を向けた。

前を向いて運転している彼の横顔はとても端正で、不覚にも心臓がドキッ…と鳴ってしまった。

今のは絶対にありえない！

先に寝てと言ったのに、心配だからと言う理由で迎えにきたこの人にときめいたなんて絶対にありえない！