「ほら、歩いてください。

戻りますよ。

足元に気をつけてくださいね」

「はいはい」

やりとりはまさにおじいさんと介護をしているヘルパーのお姉さんと言う感じだ。

伊勢谷さんを支えながら、あたしは宴会場へと戻ったのだった。


無事に宴会が終わり、あたしは曽根原さんと一緒に伊勢谷さんを支えながら7階にある部屋へと戻った。

「田ノ下さん、大丈夫ですか?」

部屋に入ろうとした時、心配した様子で曽根原さんが声をかけてきた。

「大丈夫です、あたし1人で介抱できますから」

あたしは笑いながら返事をした。

「何かあったら呼んでくださいね」

「はい、わかりました」

曽根原さんに返事をすると、部屋の中に足を踏み入れた。
< 61 / 275 >

この作品をシェア

pagetop