恋
「はーっ、さっぱりした。

気持ちよかった」

あたしは洗った髪をバスタオルでふきながら長い廊下を歩いていた。

源泉かけ流しの露天風呂で、そのうえお風呂の種類もかなり多かったから、すっかり長風呂をしてしまった。

伊勢谷さん、もう起きたかな。

売店でアイスを買うついでに、スポーツドリンクも買ってあげようかな。

そう思いながら歩いていたら、
「きゃっ…！？」

誰かに腕を引っ張られたかと思ったら、肌に冷たい空気が触れた。

外に連れ出されたのがわかった。

いや、外じゃなくて中庭と言った方が正しいかも知れない。

「誰です…」

相手を確認するために顔を見たら、
「朝比奈さん…」

あたしと同じ浴衣姿の朝比奈さんが目の前にいた。

彼もお風呂に入ってきたようだ。
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