「不倫しているとかじゃないよね?」

あたしの頭の中を読んだと言うように、朝比奈さんが聞いてきた。

「ふ、不倫ってしてる訳ないじゃないですか!」

あたしは首を横に振って言い返した。

「伊勢谷さんは上司なんです。

同じ水産部に勤めている上司なんです、不倫なんてしていません!」

そう言い返したあたしに、
「そう、へえ…」

朝比奈さんは呟くように返事をした。

その答え方は、何だか納得をしていないと言う感じだ。

「ほ、ホントですからね」

信じていないと言われているような気がして、あたしは念を押すように言った。

「彼は小春ちゃんが結婚していることを知ってるの?」

まだ聞くんですか…。
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