煮物とか寿司って…。

と言うか、大人な食べ物って…。

別に煮物や寿司が嫌いと言う訳ではない。

ただ味覚がどちらかと言うと子供の方に近いから、ラーメンとかカレーとかオムライスとか牛丼とかそう言うガッツリした食べ物が好きだからと言う話である。

「よかった、小春ちゃんのことが知れて」

朝比奈さんは嬉しそうに笑った。

いつもの彼だと、あたしは思った。

この間の旅館の件から何となくだけど、あたしは彼のことを避けていた。

元々避けてはいたけれど、それよりも3割増しで朝比奈さんと距離を置いていた。

突然の朝比奈さんのキスに対応することができなくて、家に帰ってきた後もどう接すればいいのかわからなくて、どんな顔で彼を見ればいいのかよくわからなくて…とにかく、朝比奈さんを避けることばかりを考えていた。
< 72 / 275 >

この作品をシェア

pagetop