…思いっきり恥をかいた。

しかも、この男の前でかいたのが何とも屈辱だ。

「でも」

そんなあたしの気持ちに気づいていないと言うように、朝比奈さんが言った。

「食べ物以外でも小春ちゃんのことを知りたいんだよね」

「…何でですか?」

あたしのことを知って何のメリットがあるんですか?

「夫婦だから知りたいことは知りたいんだよ。

小春ちゃんは俺のことを知りたくないの?」

「少しも思っていません」

「えっ、ひどい…」

何がですか、あたしは自分の気持ちを正直に言っただけですけど。

朝比奈さんは落ち込みながらもラーメンをすすっていた。

食べ物を粗末にしないと言うその精神はすごいと思います、はい。
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