「無理して、誕生日を祝わなくてもいいですよ」

「いや、無理なんか…」

「ごちそうさまでした」

食べ終わった食器を片づけると、キッチンへと足を向かわせた。

「あっ、小春ちゃん」

朝比奈さんがあたしを呼び止めようとしたけれど、無視して玄関の方へと向かった。

いつものようにスニーカーを履くと、家を出たのだった。

無理して祝わなくても結構だ。

変に期待をしたら、後で裏切られるのが目に見えている。

自転車に乗ると、いつものように仕事場へと向かった。

「本当に変わらないな…」

雲1つない青空を見ながら、あたしは呟いた。

自分は今日が誕生日かも知れないけど、周りからして見たらただの日常だ。
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