「えっ…ああ、どうもありがとうございます…」

まさかこの場で言われるとは思ってもいなかったので、あたしは戸惑いながらお礼を言った。

「26になったんでしたっけ?」

そう聞いてきた伊勢谷さんに、
「ええ、26になりました」

あたしは答えた。

「それで…なんですけど、田ノ下さんって今夜何か用事がありますか?」

伊勢谷さんが聞いてきた。

「用事、ですか…?」

あたしは呟くように聞き返した後、考えた。

朝比奈さんは今日も残業だろう。

家に帰っても1人で夕飯を食べることは目に見えている。

「特にありませんけれど…?」

そう思いながら伊勢谷さんの質問に答えたら、
「今夜…と言っても営業時間が終わってからなんですけど、一緒にご飯を食べに行きませんか?」

伊勢谷さんが言った。
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