「ご、ご飯ですか…?」

それって、“一緒に食事でも…”と言うヤツですよね?

「田ノ下さんの誕生日をお祝いしたいな、なんて。

ここから2駅先のところに美味しいイタリアンの店があるそうなんですよ。

そこを予約しているので、一緒にご飯でも…と」

伊勢谷さんは照れくさそうに言った後、人差し指で眼鏡をずりあげた。

ま、マジですか…。

伊勢谷さんがあたしの誕生日を覚えていてくれてお祝いの言葉を言ってくれたのはもちろんのことだけど、まさか誕生日をお祝いするために食事に誘われるとは思ってもみなかった…。

こう言うことにはなれていないので、どう返事をすればいいのかわからない。

「――あ、あたしなんかでよろしければ…」

なれていなかったので、呟くようにそう言うのが精いっぱいだった。
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