営業時間が終わるまで、あたしは駅前のスターバックスで時間を潰していた。

「もうそろそろかな」

時計が営業時間の終了を指差した時、あたしはスターバックスを後にした。

「あっ、田ノ下さーん」

その声に視線を向けると、伊勢谷さんが手を振りながらこちらの方に向かっていた。

当たり前だけど、普段からよく見かけている制服姿ではなかった。

黒のトレンチコートに黒のズボン、足元は黒のショートブーツだった。

頭には黒のハットをかぶっていた。

「お疲れ様です」

そう言ったあたしに、
「だいぶ、待ちましたよね?」

伊勢谷さんが聞いてきた。

「いえ、そんなには」

あたしは首を横に振って質問に答えた。

「では行きましょうか」

「はい」

あたしたちは改札口へと足を向かわせた。
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