嬉しかった。

食事に招待されたうえに誕生日を祝ってくれたことが嬉しかった。

「田ノ下さん、これ…」

パッと伊勢谷さんがあたしに何かを差し出してきた。

ポインセチアの花束だった。

「えっ、いいんですか…?」

突然のことに、何より花束を差し出されたのは初めてだったので、あたしは驚きながら伊勢谷さんを見た。

「僕からのプレゼントです、受け取ってください」

伊勢谷さんが眼鏡越しで笑った。

ケーキも用意してくれたうえに、プレゼントまで用意してくれたとは思ってもみなかった。

「ありがとうございます」

あたしは伊勢谷さんの手からポインセチアの花束を受け取った。

デザートとして、あたしたちはケーキを食べた。

と言っても食べていたのは主にあたしで、伊勢谷さんはそんなあたしをニコニコと嬉しそうに見つめていた。
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