バックからスマートフォンを取り出すと、朝比奈さんからきていたメッセージの確認をした。

『まだ仕事してるの?』

『プレゼントとケーキを用意してるから、早く帰ってきてね』

『一言でいいから返事をくれないかな』

彼からのメッセージを全て確認したけれど、そこに残業と言う言葉はなかった。

「小春ちゃんには残業だってウソをついたけど…本当は小春ちゃんのためにプレゼントを買ったり、ケーキを用意したり、いろいろとしていたんだ」

そう言った朝比奈さんに、あたしはスマートフォンから顔をあげた。

「そ、そうなんですか…」

宣言の翌日から残業で家に帰らない日々が続いていたのは、そのためだったのか…。

「小春ちゃん、何が好きかとか何が欲しいとかって言わなかったから…。

そもそも、最近の女の子は何が好きなのかもよくわからなかったからそれで…」

朝比奈さんは苦笑いをしながらプレゼントの山に視線を向けた。
< 99 / 275 >

この作品をシェア

pagetop