A girls meeting
震える声で伝えた言葉は、自分の声ではないようだ。
高柳の顔をまともに見ることが出来ない。
数秒のことだっただろうが、景子にとっては長い沈黙だった。
何も言わない高柳の顔を恐る恐る見上げる。
個別指導塾内で接している時は景子も高柳も調節の出来る椅子に座っていた為、目線が変わらなかったがこうして並んでみると身長差がかなりあることに気がついた。
身長がは百六十近くある景子でも見上げるのだから百八十はあるのだろう。
「あの……俺」
「分かってます。先生が気になっている子いるのさっき聞いて知ってましたし!」
関係を変えたいと意を決して言ったはずなのにも関わらず、口からこぼれ落ちるのは関係を保守する為の言い訳ばかりだ。
「俺も景子ちゃん、好きだよ」
「本当ですか?嘘つき!」
高柳の言葉に反応して言葉が飛び出る。
「嘘ついてどうすんだよ」
驚き目を見開く景子に噴き出しながら、高柳は腹を抱えて笑った。
人が一生懸命告白した後なのに関わらず緊張感がまるでない。
「じゃあ、何で笑ってるんですか?」
「だって、可愛くて」
「意味分かりません!もういいです。こっちは真剣に言ったのに」
ふて腐れて景子は高柳の事を置いて歩き始めた。
「ごめんごめん。そうだよな。告白って緊張するよな」
「本当ですよ」
ひとしきり笑った後高柳は景子の手を取る。
優しくからめ取られた手を振り払おうとするが、思っていたよりも高柳の力は強い。
「じゃあ、俺も真剣言うよ。景子ちゃん、俺と付き合いませんか?」
新宿駅。東口付近。忙しなく行き交う人々の中で鮮明に聞こえた高柳の声。
「付き合う!」
即答だった。