A girls meeting
最寄りの駅から走って一軒家の自宅に帰ってから一目散に自分の部屋へ駆け込み、高柳から貰ったメモ帳の切れ端に書かれたLINEのIDを早速検索する。
「高柳先生」と書かれた画面を見るだけで、幸せな気持ちになってしまう。
「ってか、LINEなんて打とう」
こんばんは。先日まで塾で高柳先生に勉強を教えて頂いていた緑山景子です。塾お疲れ様です。寒い日が続き春の日差しはまだまだ遠いですね。今日はわざわざ呼びとめてまで、アドレスを教えて頂きとてもうれしかったです。またご一緒出来る日が来るのを心より楽しみにしていま……。
「……何の定型文?ってかこんなLINE送られてきたらキモくない?」
それから散々悩んだ挙句、
こんばんは。先生の授業終わるまで待とうと思ってたんですけど、待ちきれなくて送っちゃいました。
とだけ打ちこみ送信した。
疑問文を打ちこんでいないが、返信が来ないという事はないと信じたい。
ああ、スタンプも送ればよかっただろうか。
でも時間差でスタンプはキモイ。
それから二時間後。
景子の携帯電話が電話の着信を告げた。
画面には先程登録したばかりの高柳の文字が表示されている。
「え?先生!?うそっ!」
LINEの返信どころか、直接電話がかかってきた事に一瞬パニックになった景子だが、そのまま携帯を放置出来る訳もなく電話に出た。