初めての彼氏と別れました

_____別れ話を切り出す一週間前

『ただいまー』

「おかえり!お疲れ様ー」

夜の9時頃。彼氏からようやく学校が終わったことを知らせるLINEがくる。

彼は放課後自主的に教室に居残りして勉強して来てるらしく、毎日帰りがそれなりに遅い。



部活は勉強に専念するため、との理由でしていないみたい。中学の時は彼は卓球部だった。

1時間前に部活が終わってお先に帰宅していた私は、労いの言葉を送る。

ちなみに私は現在ダンス部所属。中学の時はテニス部だった。

『疲れるほどやってないけどね。まだまだ足りない。』

ストイックだなあ。こんな夜遅くまで学校に居残ってるのに、充分頑張ってるじゃん。

そんなこと思ってみるけど、言いはしない。

どうでもいい私事の情報を追記しておくと、現在高校1年生の私には大学受験というものがそもそもない。

地元の私立大学附属の高校に入学したからだ。

規定の単位をきっちりとって論文とかの条件を満たせば、好きな学部を選んでその大学に自動的に入ることが出来る。

もちろん私はそれが狙いで今の高校に入った。

でも、彼氏は一般の大学受験を受けなければならない。大多数の人がもちろんそうだ。

だから、こんな遅くまで頑張っている。私は立場が結構違う故に、応援しかしてあげられない。

" 充分頑張ってるじゃん "

傍から見た私がそんなことを思ってみても、彼氏の中では言葉通り

" まだまだ足りない "

のだろう。大学受験って改めて大変だよな。中学の同級生が高校の帰りに毎日塾へ通っている姿や、彼氏のこんな姿を見る度に私は呑気にそんなことを考えた。
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