外月小学校放課後怪談倶楽部


先生はニナにだけ、こっそりと一枚の名簿を見せた。

ニナ、たつや、ひかり、まほ、るい、さえ、まさき……今のクラスメイト達の名前が書かれている。

今年の春に作られた名簿の様だ。


『?』


けど、ニナは一人だけ知らない名前を見つけた。


«清水 ともえ»


『誰ですか、この子?』

『……今年の春に転校生として来る予定だった生徒なんだけど、学校に来る途中、交通事故で亡くなったんだ。だからここに書いてある初期の名簿のうちのクラスの欄は、三十一人、一人多いんだ』

『!』


―――プラス、一人。


三十人いるこのクラスの中にいた、いないはずの一人。でも確かにいた一人。

この娘だ。この娘がもう一人のクラスメイトなんだ!

……そういうことなら……!!


『先生、ありがとうございました!』

『ちょ、ちょっと、ニナ、どこ行くの?もう良いの?』

『ともえちゃんをうちのクラスの仲間として認めれば、きっと大丈夫です!後で先生もその名簿を出席簿に挟んで、放課後教室に持ってきてください!』


答えになってない返事をしながら、ニナは教室へと戻った。




『もう一人のクラスメイトを助ける?』


ニナはクラスの皆に説明をしたが、案の定首を傾げられた。

帰りのHRが終わった直後で、まだ多くのクラスメイトが残っている。幸い、今日は誰も休んでない。


『そう!皆でともえちゃんを天国に送ってあげるの!』

『うーん……まぁ仮に本当にそのともえちゃんがイタズラの犯人だとしたら、俺たちも手伝いたいけど……どーすんの?』

『……一つ、私に案があるんだ』




『それでは、出席とりまーす。赤羽(あかば) ひかり!』

『はい』

『一ノ瀬(いちのせ) まほ!』

『はいっ!』

『宇津木(うつぎ) かい!』

『はーい』


―――そう。ニナが思い付いたのは、『ともえを入れた三十一人の出席をとること』だった。


『斉木(さいき) たつや!』

『はぁい』

『……清水 ともえ!』

『……………………………』


当然、返事はない。

先生はそのまま続けた。


『守藤(すどう) ニナ!』

『はいっ!』

『瀬賀(せが) まさき!』

『あーい』

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