さょなら大好きな人


授業が終わってすぐに、加奈は圭吾の元へと駆け寄った。

「...。」


嬉しくて嬉しくて、何て言えばいいのかわからない。

「なんだよ、かばってもらっといて礼の一言もなしか!?」


「かばってくれなんて頼んでないも〜ん!」

素直にありがとうって言いたかったのに、圭吾が茶化すから言えなかった。

代わりに出てきたのは可愛くない憎まれ口。


加奈は小さく溜め息をついた。


そして「バーカ」と、いつものように心にもない言葉を吐いて圭吾に背を向けた。




いつものように...


「また明日ね。」と笑いながら――――...。





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