箱庭センチメンタル
信じていない……?
首を傾げて、言葉の意味を考えてみるも理解が及ばない。
そんな私に真也は近づき、そして……
「…っ、何を…」
抱き寄せられて、彼はぎゅ、と力を込めてくる。
解こうと試みたけれど、更に抱きすくめられて断念する。
やがて床に膝をつき、されるがままになっていると、ふっと力が緩む。
綺麗な顔が覗き込まれた。
「でも、俺のことは信じてくれた」
先ほどと同じことを囁いて笑む彼は、どこか儚い。
消えてしまいそうな姿に、私は引き止めるように彼の頰へと手を添えていた。
やはり、難しい。
彼の言動は私の理解の外にある。
互いの体温、息遣いまで感じるほどに近い距離。
けれどひどく遠く感じてしまうのは、私が彼を分かってあげられないからなのか。
逆に彼が、私に理解を示しているからなのか。
結局私は、真也に何も言葉をかけることができなかった。