箱庭センチメンタル
「で、雛李。何かあった?」
「……何か、とは」
「ほおー、まだ隠し事するか。
正直に言え。お前あんま寝れてないだろ」
「……」
往生際が悪いと言われればそれまでだけれど、素直に「はい」とも言えない。
頷いてしまえば、真也はきっと気にするだろう。
ここ数日一緒に過ごしていて分かった。
彼は度が過ぎるほど優しい。
こちらが気を遣っていることに気付いているのか、とにかく私の言動一つ一つに反応してくるのだ。
何か作業をしていると後ろから視線を感じる。
無言の時が続けば、ぼんやりしていることに気付いてくる。
言わんとすることを汲み取ってくれる。
疲れている時、休憩したい時。
普段と何ら代わり映えしない状況下で変化を指摘してくる。
おまけにそれが実際、状況と見事に伴っているのだ。