箱庭センチメンタル
一族の在り方は、全てお祖母様の一存で決まるのだ。
だから、変化はいらない。
今の私がなくなってしまったら、私は私でいられなくなってしまう。
そんな私を守るのもまた、皮肉なことにお祖母様なのだ。
けれど、それで何も考えずに済むのなら……
事を荒立てずに済むのなら、それが私にとっての安らぎ。
だから今、どうしようもなく困惑している。
真也のまっすぐな瞳が暖かくて、安心するけれど。
人を信じていいのかも分からない。
何も信じられない私が、彼のそばにいていいのか。
今もまだ、迷っている。
「雛李…」
真也の手がこちらに伸ばされる。
彼は今、何を考えているのだろう。
何を思い、私を連れ出してくれたのだろう。
『諦めない』
初めて会った時に言われた、彼の言葉の真意が分からずにいる。