箱庭センチメンタル
「本当はずっとここにいて欲しいくらいだ。てか、俺が帰したくない」
本気か冗談か分からないことを言われ、見透かされたようでドキリとした。
いつかここを出ていくのは必至のはず。
けれども、それについてはあまり考えたくない。
「こんな可愛い奴、普通離したくなくなるだろ。
なあ、ずっとここにいてくんない?」
にっこり笑った彼に、戯れのように言われて何も言えなくなる。
やはり、冗談には違いないのだけれど…。
そう言われては、私は何も返せない。
もしこれが本気だとして、けれども私は頷けない。
気休めでも「良いですね」などと言いたくはない。
彼に嘘をつきたくなかった。
かと言って、はっきり断ることもできなくて。
曖昧に濁すだけで、結局返事は出来なかった。