箱庭センチメンタル

新しい世界





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「雛李、今日なんか用事あるか?」



ソファーに座って子猫を撫でていた私に、シンは唐突に話を切り出した。


「いえ、ありませんが…」



家事をするくらいしかやることがない私が、先の予定など立てているはずもない。


素直に答えると、真也はそれは嬉しそうに笑った。



「じゃ、今日出かけるか!」


「……はい?」


何をしに外に行くのだろう。


表情に出ない私の疑問に、相も変わらず目ざとく気付く真也。



「雛李の私物買いに行きたいんだよ」


「私の私物…ですか」


「いや、そのー……あ、あれだ。服とか」


何やら視線をキョロキョロと彷徨わせ、歯切れが悪い。


服……


言われて、自分の格好に目をやる。



文字通り、身一つで屋敷を出ていた私は当初着ていた着物しか持ち物がなかった。


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