箱庭センチメンタル
歯ブラシやコップ、最低限必要な日用品程度は揃えてもらっていたけれど、着替えは真也のものを借りていた。
けれど、あまりに体格が違いすぎて下は履けず、シャツをワンピースとして着用している。
丈が短いのが少しばかり心許ないけれど、これはこれで良しとしていた。
「私はこれで構いませんが…」
「俺が構うんだよ!」
「…?何か支障でも?」
「いや、いつまでも俺の着せとくわけにもいかないだろ」
言葉の意味を考えて、ああ、なるほど……と納得した。
そういうことでしたか。
つまり、他人の私に服を貸しておくのが耐えられないのだろう。
自分の物と他人の物はしっかり区別したいということか。
一人解釈していると、私の勘違いに気付いたらしい真也の困ったようなため息が耳に届いた。
「……そうだった。悪かったよ。
お前にはこういう回りくどい言い方は伝わらないんだったな…」
「…?」