箱庭センチメンタル
屋敷で過ごしていた私は、外に出たことがほとんどない。
最後に外出したのはいつだったか……もう記憶に薄い。
まるで未知の世界へとこれから足を踏み入れるかのような感覚は、なんとも言えない。
それも社会勉強の一環として捉えればいいのかもしれない。
知識、経験、知らなかったことが知れる。
真也といると、自然と新しいことが増えていく。
それは本来、得てはいけないものだと知りながら……
私はそっと、目を背けた。
彼がいてくれるのならば、きっと大丈夫だ。
そうして私は、出かけることを決めた。