箱庭センチメンタル



これほど立派な光景が堪能できる。


観覧人は自分のみ。


なんて贅沢なのでしょう。



とても勿体無い気になってしまう私は、理想が低いのかもしれない。


というより、程度というものが理解できていないだけなのだろう。


私は好きだけれど、皐はこういうものにはあまり関心がない。



外で沢山の人や物に存分触れ合っているからだろうか。


そうなら、やはり羨ましい。


これほど素晴らしいものを、自身の足で探し、見つけることができるのだから。



私には到底不可能。


外を見ることも、この手で触れることも。


近付くことさえ出来ないのだ、何を想像できようか。


何も、自分を不幸ものだと悲観しているわけではない。


ただ少し、ほんの少し、興味があるだけ。



そう。



「ただ、それだけ」


誰に聞かれるでもない呟きは唇からこぼれた瞬間に何処かへと散っていくようだった。



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