箱庭センチメンタル




きっと、今の私はおかしい。


そう。だだ、傷心しているだけなのだ。


そうでなければ、今日まで平静でいられるわけもない。




『お人形が涙を流すことなどあってはなりません。
無のままに。それが素晴らしいお人形というものです』



お祖母様に教え込まれた言葉は、呪縛のように私を縛り付ける。


それが自然に、出来ていなければならないとでもいうように。


おかしなことだとなのだと理解はしているけれど、受け入れている異常な自分。


まるで刷り込みだ。



それらの戒めを、一度たりとも忘れたことはない。


身分は弁えているつもりだ。




そう、分かっている。


従わなければいけないからこそ、だ。




私はお人形。



感情を失くして、無を貫き、それ以上を求めない。


求める意思さえ持つことは許されない。



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