箱庭センチメンタル
お祖母様の追求する“完成品”。
それは、完璧に自分の理想と化するお人形への、愛に満ちた言葉。
唯一無二の歪んだ愛情。
「外観のみ着飾ったところで意味などありません。ただお人形らしくしていればいいというわけではないのです。
雛李さん、貴方なら分かるでしょう。完璧なまでに。その為にわたくしが手ずから情熱を注いでいるのですから。
表情、感情は当然のこと。意思、思考、他者との繋がり。貴方は何も持ってはなりません。
——なぜなら、貴方は……」
私は作品。
最高を目指す、そのために存在する。
それがお祖母様の、至上の望みとあれば。
「お人形なのだから——」
私は、生きるために死にましょう。
そして、死ぬために生きましょう。
存在する事に意味があると言うのなら、私は……
生ける屍にさえ成り果てます。