箱庭センチメンタル
それよりも、だ。
ここは屋敷内で尤も手薄であり、戸の存在さえ知らない者も少なくはない。
戸自体も脆く、一見して特に危険はないように見えるものの……
「こちらは、壊される可能性も考慮して、泥棒避けに監視カメラが2台設置されています」
塀の外ではあるけれど、首振りの監視用カメラがある。
安全面を考慮して、最低限の防犯には努めているというわけだ。
そう、ここから出るのは容易ではないはずなのだけど。
「心配ない心配ない」
気丈に笑う彼には、大した壁でもなかったよう。
そのための確立した理由があるらしい。
「そのカメラ、戸には主軸を合わせてないんだ。ついでに言うと、レンズが微妙に地面から逸れてる。多分、侵入以前に近付く不審者の警戒なんだろうな。
つまり、死角はそこ。戸の開閉にさえ気を遣えば、這うように進んで何とかいける」
確信ではなく、正当に寄った明らかな結論。
そこから導かれる自信。