箱庭センチメンタル
ずっとずっと、大切にされてきた妹。
強制されることも、隔離されることもない。
可愛いお洋服を着て、髪は毎日お母様に結ってもらっていた。
いつも外へと遊びに行き、楽しそうに帰ってくる姿を影から見守る自分。
何よりも悲しいのは、両親が笑っていること。
私とあの子では天と地ほどにも思える、明らかな差があった。
いつか、襖の隙間からそっと居間を覗いてみたことがあった。
目の前の光景は、私を絶望へと突き落とした。
妹がはしゃぎながら、両親、そしてお祖母様、ご馳走と贈り物に囲まれていた。
その日は、妹の5歳の誕生日。
この時、9歳だった私は知ってしまった。
何かを祝ってもらったことなどなく、贈り物を頂いたこともない。
家族で楽しく一日を過ごすなど、以ての外。