箱庭センチメンタル



事実、今回の失態はかなりの痛手だ。


相応……否、それ以上の働きを見せなければ、挽回は到底かなわない。


より必要なのは、『何も持たないこと』。



言われるがままに。


私は返しもなく、ただただお祖母様の次の言葉を待った。



けれど。



「貴方は頭の良い子です」


想定とは遠い、お祖母様の一声は難解なもので。


まさか見逃すこともないだろうに、それでも、呼吸運動とは明らかに違う何か小さな息が、唇から漏れ出た。


それは、表に出られない安堵を表明したかのように。



そうしたのも束の間。



「貴方なら、この意味が分かりますね」


ああ、なるほど。


合点がいって、思わず納得してしまう。


ただ一言で、一転して想定は復元。


そこから確信へと進行を極めた。



「はい、承知しております」


渇いた口内。


隠すように、声を発する。


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