箱庭センチメンタル



「……皐」


「だって、酷いですっ!
こんなに長い時間お姉様をほったらかして、ここまで来ても見て見ぬ振りで無かったことにするなんて、皐は絶対出来ません!」



不思議なことを言う。


何も別に、皐が原因でここにいるわけではない。


尤も、たとえ彼女が原因だとしても私は一向に構わないのだから、重要視する問題でも無いのだけれど。



とはいえこれは、私の完全なる失態が招いた状況なのだ、償って何がおかしいのだろう。


損失はもちろん補う。


信用には埋め合わせが必要であり、これはその為の手段。



負い目を感じる皐の心境が私には理解できなかった。




引き下がらない皐は、とうとうしゃくりあげ始めた。



「もう、お姉様にこんな思い……皐は、して欲しくないです…っ」


「……こんな思い、ですか」


この状況をお祖母様に見つかれば、今まで大目に見られてきた皐の立場も危うくなるに違いない。


一つ、息をついた。


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