箱庭センチメンタル
あまつさえ、無関係の彼をも引き入れるとは。
はあ、と息をつき、幾分低くなった声色で畳み掛ける。
「このようなこと…。
自覚が足りないのではないですか?」
「っ、仕方ないんです!」
両の手を胸の前で組み合わせ、私を案じる皐は声を張り上げた。
何が仕方ないというのか。
これは簡単な問題では済まされない。
皐の言い回しでは、相応の理由があってのことだと、そう解釈されてもおかしくない。
それをきちんと理解して発言しているのだろうか。
「厨房の前を通りかかった時に、お祖母様の声が聞こえてきたんです。
何かを指示しているみたいでした」
「何か、ですか」
「扉越しでよく聞き取れなかったんですけど、『睡眠』『生かす』『調整』っていう言葉が微かに聞こえて、まさかと思ったんです。
どうしても不安で覗きに来たんですけど、扉を叩いてもお姉様の反応がなくて、怖くて…」