箱庭センチメンタル
*2.『キボウヲ ミル』
貴方を信じる
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さて。
皐に見送られ、屋敷を出てしばし歩いては見たものの……
これからどうすれば良いのだろう。
勢いと成り行きに任せすぎて、早々に迷ってしまった。
普段の私であれば、これほど計画性がない誘いに乗ることはまずない。
そもそも屋敷の外にいることを想定することもなかった。
何故ならそれは、つい先ほどまであり得ないことだったのだから。
持ち合わせはない。持ち物も皆無。
まさに着の身着のまま出てきてしまった。
更には地理にも暗く、一体全体どこへ向かうべきかも分からない。
これは困りましたね。
ふう、と息を吐き出し思考を巡らせる私に、隣を歩いていた彼が切り出した。
「あのさ、俺ん家来ない?」
「……はい?」
遅れて出た間の抜けた返しは、何も考え込んでいたから聞き取れなかったというだけではない。
想定外の、斜め上の提案だったからだ。