わたしの初カレ。
「望和、落ち着いたみたいね...」
桃華は、ホッとしたかのようにそう言うと、いきなり唯くんの事は聞こうとはしなかった。
「望和...ごめんね。
やっぱり...無理に話さなくてもいいよ?」
「...ううん。桃華には話したいの...!!」
不思議と、桃華を前にするとどんどん口が開き始めた。
自分から唯くんを振ったことを心の中では後悔していること。
別れた原因は、高校で出来た友達が...
唯くんと仲がいい女子のことを嫌っていると同時に唯くんの事も嫌っているから。
唯くんが私と別れ、
新しい彼女ができ、
新学期の時に金髪になっていたこと。
その彼女があまりにも経験豊富で、
付き合ってその日にキスしたこと。
学校で、唯くんと彼女がイチャイチャしていること。
唯くんと彼女がイチャイチャしているところを見ると自分がイライラしてしまうこと。
どの話も桃華は、ずっと黙って話を聞いてくれた。
「あ...、
つい一方的に話しちゃった。ごめんね...!!」
「いいよ、望和。話してくれてありがと〜!!」
そう言って桃華は私に抱き着いた。
「望和、けっこー大変な高校生活送ってんだね〜!!」
「まあ、友達といるのは楽しいよ!!」
「そっか〜!!」
本当に、友達といるのは楽しい。高校で出来た友達である星莉ちゃんもるるも優しい。
「でもさ、望和〜
話を聞く限り、アンタまだ『唯くん』のこと好きでしょ?」
「へっ?!」
「好きじゃなきゃ、あれだけ唯くんの行動を言えないでしょ。
無視したいのに無視出来ない。それはー、まだ望和が唯くんを好きってこと!!」
「...でも、私...唯くんのこと嫌いになったはずなんだよ...。私の友達に過去にひどいことをした人と仲良くしたりして!!
しかも、今、その人と唯くんは付き合ってるんだよ!!」
「うん、それはさっき聞いたからさー分かるけど。」
そう言うと桃華は表情を曇らせる。
うーん...
と桃華が真剣な表情をしたかと思いきや...
ぐーーーーっ
とお腹の音が部屋に響く。
「あははっ!!」
思わず私は、声に出して笑ってしまった。
ずっと心の中で思っていたことを自分でもビックリするくらい言ったからだろうか。
なんだか、とにかくスッキリして、私もお腹がなった。
────そして、一緒にチャーハンを作って食べた。
食べ終わると、またさっきの話の続きをすることになった。
「てかさ!ずっと家で話するのもなんだから〜近所の公園いかない?!」
「行こう!!桃華と、公園行くの久しぶりだな〜」
私達は、公園に行きながらも話をすることにした。
「望和さー、
周りを気にしすぎじゃない?」
「え?」
「だって、別れることはなかったんだと思うよー」
「...ごめん」
「いや、謝んなくていいけどさ〜。」
確かに...周りの人から見たら、私の別れた原因って不思議だよね...。
落ち込んでしまった私に桃華が、私の背中を叩く。
「ま!望和は望和なりの考えで別れたんだねっ!!でもね!自分の気持ちに正直になることも大事だよ!!」
そう桃華が言った瞬間、
自分の心に詰まっていた何かが溶けたような気がして...。
涙が溢れた。
他人から、
『自分の気持ちに正直になるのも大事』
と言われてから気づくこともあるんだな...。
やっぱり...桃華だいすき!!
「うわーーーん!もっも...もかぁ...!!」
「あっ!!もー、泣かないのーー!」
そんな会話をしているうちに、近所の公園についた。
「よーし!公園についたよ〜!!」
「...ひっく...ううっ...」
「あーもーっ!ブランコしよー!!」
そう言って桃華が私の手を引っ張る。
泣きながらのブランコなんて、初めてかもしれない...。
ブランコのちょうどいい揺れは心地よい。
────ふと唯くんの顔が思い浮かんだ。
自分の気持ち...
自分の気持ち...
嫌いって思っていた、大嫌いって思っていた。
直接、なにかされたわけでもないのに、
私は周りに流されて一方的に振っちゃったんだ。
私が一方的に嫌ったんだ。
そうだ。
「桃華...、私...。」
「んー?どーしたー?」
「まだ、私...すごい弱い人間だけれど...。
やっぱり自分は、なんだかんだ唯くんが好きなんだなってわかった!!」
「そっかー!!
良かったじゃんっ!!!
...で、どーすんの?」
「どうするって?」
「より戻すの?」
「...どうしよう...。」
より戻したいけれど、唯くんには新しい彼女がいる。
いつもラブラブだし
別れそうな気配がない...。