わたしの初カレ。

□唯side





【唯side】



エリカと付き合って、あっという間に5ヶ月が経過した。




エリカは、俺が経験したことのないことを色々と教えてくれた。


キスの仕方や...まあ、とにかく色々(笑)。


エリカといると、自然に積極的になっていく自分の姿にビックリした。


それはきっと望和へのキモチを忘れる為に無意識に、積極的になっていたんだと思う。


エリカと付き合っているってだけで、何もかも忘れることができるような気がしていた。




────だけど、
同じ空間に望和がいるというだけで望和のことを意識する自分がいた。




でも、今の俺にはエリカがいる。

せっかくエリカが隣で笑ってくれているのに、望和のことを考えるなんて...自分はなんて最低な人間だろうと思った。



だから望和が近くにいる時は、わざと後から抱きしめたりキスしたり、人前でエリカのほっぺたをつねったり...。
イチャイチャばかりしていた。



そんなある日。
あれは1学期の4月頃だったかな...。



俺は廊下側の席の1番後ろの席であるため、
無意識のうちに廊下を見るのが習慣となっていた。




現代文の授業が始まって10分も経っていない時だった。

俺は、江口(星莉)さんが廊下をゆっくり通りかかる姿をちょうど目撃した。



授業中に
なんで廊下なんか歩いているんだろう...。



よく見ると江口さんが、望和をおんぶしている。


俺は自然と、望和の心配をするかのように、足が廊下の方へ動く。



「江口さん...
俺が代わりに望和さんを運びます」




俺がそう言うと、江口さんは驚いたような顔をする。



江口さんには、とりあえず保健室までついて来てもらうことにした。



望和をおんぶする。


懐かしい望和の匂い。


心地よく感じた。





────やっぱり俺は...望和のことが好きなんだな。




ずっとおんぶしていたいと思った。



背中に、望和の熱と息がかかる。



やばいな。理性飛びそう。





「あのっ...佐々木くんっ」



突然、江口さんがそう言った。



「なんですか?」



「あのっ...佐々木くんって望和が好きなんですよね...?」



「...」


「ごめんなさい。なんでもないです!!」



思わず無言になってしまった。


そのまま沈黙が続き、保健室についたところで


「江口さんが運んだことにしといて下さいね」


と言って俺は教室へ戻った。




────危ない。


俺、江口さんが一緒についていなかったら望和をそのまま別の場所へ連れて行っていたのかもしれない。






ドキドキする。



...苦しい...。




俺はもう


望和に触れることは出来ないんだな...。





あれから、また望和を忘れるかのようにエリカと沢山デートした。



沢山、沢山デートした。



そして────


また最初の頃に話が戻るけれど...。



今日、俺はエリカと公園に行った。




公園には



望和と桃華さんがいた。




俺は公園に入るのを止めようかと思ったがエリカが俺の腕を引っ張り、公園に入ろうとする。




エリカ、イライラしてるなぁ。



エリカのイライラがおさまるまで、エリカの誘いに付き合おうかな。




その瞬間(とき)だった。






「望和が、佐々木唯と女がイチャコラしてる姿見て妬いてるーーーー!!!」




という桃華の声が聞こえてきた。




え...。


望和が俺達がイチャイチャしているところを見て妬いている...?










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