わたしの初カレ。



...せっかく動物園を満喫しているのに、周りはカップルだらけ。




「いや〜んっ。ゾウこわいこわい〜」



私の斜め後ろから嫌な声が聞こえてきた。



「げっ、せっかく気分転換に動物園に来たのにさーーー。
なんでエリカがいるんだぁぁあ」



エリカの存在に気づいたるるが、そう叫んだ。






...エリカちゃんがいるならきっと、隣には唯くんがいるはず...。





────え...?




「えっ、エリカちゃんの隣の人...
唯くんじゃない?!」




「...なによ。そんなに大きな声出して。」




「わっ?!えっ、エリカちゃん?!」




「...彼氏がいるんだから、変なこと大声で言わないでよね〜っ」




「かっ、彼氏ってその人...唯くんじゃな...」




「しーーーーっ」




エリカちゃんがしーっと言いながら、人差し指を自分の唇に当てた。





「...ちょっとエリカ!!
なに望和をいじめんなっ!!!!」




そう言ってエリカちゃんと私の間に、るるが入り込む。




「あれ?エリカ、彼氏はー?」




「...彼氏ならアレだけど?」




「あの黒髪のちょいチャラめで、ちょーーーーど短足のチビが?(笑)」




「...」



ムスッとしたまま、エリカちゃんが頷く。



いつの間にか星莉ちゃんも私達の間に割り込むように入ってきていた。




「...えっと...。
でも、エリカちゃんの彼氏は佐々木くんだよね...?」




小声で、そういう星莉ちゃん。




「ああ。
私...、もう唯のことよく分からなくなってきてるから」





エリカちゃんは、俯き加減にそう言うと、走ってチビ彼氏のもとへ行った。







...衝撃。



あんなにラブラブだったカップルが...。



しかも、エリカちゃんが浮気をしてるなんて。




でも、心の中で喜んでいる自分がいる...。



唯くんと、
また付き合えるチャンスがきたかもしれない
と思っている自分がいる。





...はぁ、
恋ってよく分かんないんだよなぁ。







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