わたしの初カレ。
「望和?固まって...どうしたの?」
「別に、固まってはないよ...?」
ははっと、笑った唯くんは私の手を握った。
さっきも握られたはずなのに、またドキドキした。
「11月だから...もう冷えてきたね...。」
「...うん。なんか寒いよね?」
「また、キスしよっか?」
「えっ...そんな...んっ」
不意に、また唯くんからキスをされた。
────このキスは...。
唯くんの舌が私の口の中に入ってきて────。
────ドンッ。
私は、思わず唯くんを突き飛ばした。
これ...エリカちゃんとしていたキス...。
「...やっぱり...。やっぱり無理」
「...ごめん、望和」
嫌だ、嫌だ、嫌だ。
やっぱりあんなの唯くんじゃない。
私は、唯くんから逃げるように無我夢中で走った。
「...っ。ひっく...。
...ただいま」
家に帰るとお母さんに心配された。
「ちょ望和!!
泣いてるじゃない?!」
「.....大丈夫。」
「どうしたの?何かあったの?」
「...何かあったから泣いてるの!!
今日は晩ご飯いらない。」
ドタドタドタドタドタ...
────バンッ。
自分の部屋はやっぱり落ち着くなぁ。
一気にまた、涙が溢れる。
唯くんがやっぱり好きだって思った。
だけれど、唯くんのキスで...どうしてもエリカちゃんの面影を感じてしまった。
ああ、泣くのって何回目だろう。
自分から、唯くんを振った時はこんなに涙なんて溢れなかったのに。
私って、初めての彼氏だった唯くんに、一途になりすぎてるのかなぁ...。
唯くんと、エリカちゃんが付き合った時だって、心の中では気にしていたし...。
────ピロリン♪
誰からのRINEだろう...。
唯『...間違えて追加した。』
唯『って、いうのは嘘で』
唯『いきなり追加して、ごめん。』
...えっ?!唯くん?!
望和『追加...いいよ。』
唯『さっきはいきなりごめん。』
なんだろう。ごめんって言われると自然と許してしまう...。
望和『全然いいんだよ!!気にしないで!!』
あーあ、さっき自分、泣いてたくせに...。
唯『明日さ、昼休み話そう?』
...昼休みかぁ。
昼休みはるるを1人にはできないなぁ...。
望和『...朝ならいいよ。』
────ということで明日の朝、唯くんと話すことになった。