わたしの初カレ。
気づかれないように、そっと唯くんに顔を近づける。
優しい優しい唯くんの顔。
青白いほっぺた。
目の下にできたクマ。
でも、そんな唯くんの顔でも
今は愛おしいとかんじる────。
頭がクラクラする。
唯くんと別れて、あんなに嫌っていたのに。
るるや星莉ちゃんと、あんなに唯くんの悪口言ってたのに...。
なんで、こんなにドキドキしてるんだろう。
...やっぱり、私唯くんが好きなんだ。
いつの間にか...唯くんのほっぺたに、『キス』してしまった。
唯くんがそんな顔してるから悪いんだ。
うん。
そうだ。
きっとそう。
あっ、気づかれたらまずい。
それに、チャイム鳴っちゃうからそろそろ教室戻らなきゃ。
授業に間に合わなくなる。
そーっと、その場を離れようとした時腕をつかまれた。
「...ゆ、唯くん。
今、やっやっと目が覚めたんだね?」
「...さっきから目は覚めてたけど?」
「...へ?さっきから?」
もしかして...こっそりキスしたのバレたのかな。
「望和って、エッチだよね。
...こっそり保健室で俺にキスするなんてさぁ。」
「...えっ?!
べっ、別にキスはしてない...よ?」
「ごまかしたって、むだだよ...?」
唯くんが、ベッドで横になりながら私の顔を見つめてくる。
その視線は...反則です。
唯くん、本当に性格ドSっぽくなった気がする...。
「...あ、もうすぐ授業はじまっちゃ...」
────キーンコーンカーンコーン...キーンコーンカーンコーン...
「ちゃ...チャイムなっちゃった...。
...授業あるから、手を話して...下さい。」
「...やだ」
「やっ、やだって…」
「...ごめんね。
なんか望和に甘えたいなって思って。」
貧血で青白っぽくなっていた唯くんの顔が、少し赤く染まった。
その唯くんの顔も、本当に可愛い...。
「...私もお腹が痛いから、保健室にいよっかな...。」
「お腹...痛いの?」
「...って言うのは嘘だけど...。
私、唯くんの隣に...」
「ん?」
「そのっ、唯くんのとな、とな...となりっ」
「ははっ。
望和ってば、恥ずかしがりすぎだよ。
ほら、ちゃんと聞かせて?」
「...その、
保健室で唯くんの隣にいたいから...、
お腹が痛いってことにして唯くんの隣にいますっ。」
「...ありがとう、望和。
でもその言葉だけで十分。
引き止めてごめんね...、授業いっておいで?」
「授業サボるのはよくないもんね...!!
...本当は、唯くんのそばにいたかったけど。」
「こらっ。そんな嬉しいこと言わない(笑)。
...ん?俺、望和おかげで貧血なおったかも」
「ほんとっ?!もう体調戻ったの?!」
「そうみたい。
俺、カラダもう気だるさとか感じないし。」
「そっか!!良かっ...」
────?!
私の肩には、唯くんの片手。
そして...私の唇には、唯くんの唇。
これで唯くんとキスをするのは、3度目になる。
不思議だな。
唯くんが私の『彼氏』だった時はキスなんてしたことなかったのに。
唯くんが私の『元カレ』になってからこんなに二日続けてキスをするなんて.....。