わたしの初カレ。
「はいっ!!」
と、元気よく言った私の声に唯くんが少し笑った。
なんだか車の中の雰囲気もすごくいい。
唯くんのお父さん、とても優しそうな人。
────?!
「ひゃっ?!」
いきなり、唯くんの手が私の手に触れてきた。
そのせいで思わず変な声がでた。
も、もう...。
唯くんってばお父さんがいるのに←。
行動が大胆です...。
「しーーっ。望和どうしたの?」
「おっ。唯...
お前、その方のことを呼び捨てで呼んでんのか。」
「...特に意味はないよ。」
「なんだそれは(笑)」
お父さんのハハハハという声が車の中に、響く。
そうこうしているうちに、唯くんの家に到着した。
「わぁ!!大きな家...!!」
2階建ての大きな家だ。
庭も広いし、すごい...!!
唯くんの家、初めて見たなぁ...。
付き合っている時は、見たことなかったからなぁ...。
まさか、唯くんの『元カノ』になってから家を見ることになるなんて←。
「望和、どうぞ。うちに入って?」
唯くんが家のドアを開けてくれている。
その優しさにもキュン。
「あの...、お邪魔します...!!」
「あら〜!!石井さんじゃないの〜!!」
「お、お久しぶりです!!」
唯くんのお母さんのことは、知っている。
中学の時、よく体育祭や学校で行われるPTAの会で見かけていたからだ。
それに、唯くんのお母さんはすごく美人だからクラスのみんなも騒いでいたし。
「まさか、覚えられているなんて思っていなかったです...!!
ありがとうございます!!」
「あらあら〜。お礼なんていいのよ〜!!」
唯くんが、さり気なく私の手を握る。
「俺の部屋、2階にあるんだ。案内するね。」
唯くんと手を繋いだまま...。
夢みたい。
私達、いつの間にかそういう関係になってる...。
でもまだ、よりを戻したわけではない。
唯くんの手汗を感じる。
...やっぱり唯くんも緊張してるのかな。
あ、自分の手汗かもしれない...。
────バッ
と手を離した、私を唯くんが目を丸くして見てきた。
「ごめんね?...嫌だった?」
「違うよ!!
...私、手汗やばかったから...。申し訳ないなーと思って。」
「あっ...。
俺の手汗かも。ごめんね。
なんか、俺...緊張してる...。」
そう言って、後の首をかく唯くんの姿はまるで小動物←。
小動物っていう例えにしたくなるほど萌える!!
「あっ、どうぞ...。
部屋、汚いかも。ごめん。」
部屋に入る。
汚いかも
って言ってる割には綺麗に片付いた部屋だ。
「すごい...!!
男の子の部屋って初めて入ったなぁ!!」
「そっか...。じゃあ、男の部屋に入るのは俺が初めてなんだ?」
「...うん!!」
「なんか嬉しい...。」
「私も、なんか新鮮な気持ち。
男の子の部屋ってやっぱりシンプルだね!!」