わたしの初カレ。


私達は、
あの後パフェを食べて

楽しかったけどアイツらがね〜


と言いながら解散した。


何だかんだで今日は楽しかったような
複雑だったような...。


私そう思いながらベッドに寝ころんだ。


窓から見える月は相変わらず綺麗。


何も知らず光る月が何となく羨ましい。




なんで嫉妬した自分がいるんだろう。


あーあ、学校でもあのイチャイチャ姿を


嫌でも見ないと行けないのかなぁ。



そう考えるうちに、ぐっすり眠ることができなかった私は、学校に遅刻した。




「おっ...おはよう...」


「どうしたの?!望和ちゃん大丈夫?!
それに、今は11時半だよ?」




「えっ...あっ、お昼かぁ...」


私は寝不足のせいか、


頭がまわっていない。



「あ、移動教室だから急ごう!!」


そう言って星莉ちゃんと、教科書を持って移動しようとしたその時────


私は、その場で倒れてしまった。


そして、気づいた時は保健室にいた。


「石井さん、気づいたみたいですね。
江口さんが保健室まで運んでくれたらしいわよ。」



江口さんというのは、星莉ちゃんのことだ。

星莉ちゃんの苗字は、江口だからね。


で、教室から保健室まで運んでくれたんだ...。

有難い。


大丈夫だったかな...。


「凄いわね、江口さんって階段あったはずなのに保健室まで運んでくるなんてね〜」



と、保健室の女の先生が言った。



そして、ただ頷いていただけの私に先生は言った。


「倒れた原因は睡眠不足みたいね...。

それで、体調くずして少し熱が出てきているみたいだから、ゆっくり休んで下さいね」



そっか、私は...睡眠不足で倒れたんだ...。


熱まであるなんて。



キーンコーンカーンコーン...


ちょうどその時、チャイムが鳴った。



そして数分後、るると星莉が心配して保健室まで私の様子を見てくれた。


そして大丈夫?と優しく声をかけてくれた後、


星莉ちゃんは、衝撃的なことを言った。



「そう言えばね...、

保健室行くまで1組の教室通った時に、

私が望和ちゃんをおんぶして運んでたら...」


と言って、るるの方を星莉ちゃんはチラッと見た。


運んでたら...?


その後のことを聞いた時、


夢を見ているのかと思った。



────そう。

唯くんが私を運んだという。


まあその後、

あくまで人助けのために運んだだけと言ったらしい。


「唯も、いい奴なのにさ〜

その後、
彼女を安心させようと
授業中に教室でキスしたんだよ〜!!
あっりえないよね!!」



そのるるの言葉に星莉ちゃんの表情が引きつる。


でも私は、

とにかく運んでもらった

という事に衝撃を隠せない。


「ごめんね、望和ちゃん...

私が、力がないから...
あんな人に運ばせちゃって本当にごめんね。
まあ...
佐々木くんからは、
俺が運んだ事は秘密でお願いしますって
言われたんだけれど...ね」


「やっぱり!真実を教えたほーがいいかなーと思ってさ!!!」



そうだったんだ...。


私は、2人が保健室から出ると唯くんの温もりが残っていないかを確かめようと、無意識のうちに自分をぎっと抱きしめていた。


なんで、なんで今更、自分はこんなに後悔しているのだろう。


別れた直後は涙なんて出てこなかったのに

なんで涙が溢れてくるんだろう。


熱が出て、体調も悪いから心が弱っているのかな...。


声を上げて泣く私の姿に、保健室の先生は大丈夫ですかと尋ねてくる。


その言葉が、余計

私の涙を溢れ出させてしまう。



────ガラッ


保健室のドアが開いた。


こんな事はあるのだろうか...。


金髪の男子生徒が保健室に入って来た。


────唯くんだ。


でも、唯くんだけではなかった。


唯くんの後ろにはエリカちゃんがいた。


エリカちゃんは何故か泣いている。


保健室の先生は、

授業サボりに来たの?

と言ってちょっと怒り気味で言った。


「いえ、先生...。
それは誤解ですよ。ほら、彼女が泣いていて...なんかちょっとあって...それで情緒不安定になったので、俺が保健室まで彼女を連れてきました」



エリカちゃんは、声を上げて泣いている。

私は、ベッドのまわりにあるカーテンの隙間から覗いてその様子を見ていた。



先生は、


「仕方ないわね...。
落ち着くまで寝ていなさい。」


そう言うと、唯くんを教室に返した。



私は、また静かにベッドに寝っ転がった。



隣側のベッドで泣いているエリカちゃんは、

保健室の先生が用事で保健室を離れたのを確認すると私に話しかけてきた。




「ねぇ...ヒックッ...

アンタも保健室に...いるんでしょう?」



────ビクッ


怒られそうな予感がして、


私は背を向けた。




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