わたしの初カレ。
とりあえず、私はずっと黙っていた。
保健室にエリカちゃんの泣き声が響く。
「...アンタのせいで私、泣いてるんだよぉ。
私って結構、嫉妬深いのっ...ヒックッ...」
「ごっ、ごめんなさい...」
何だかまた、熱が上がってきた気がする。
「まあ、病人のアンタに嫉妬する事はないかもしれないけれど...。
私の唯がぁ、ヒックッ...」
ああ、もしかしてエリカちゃんって
唯くんと遊びで付き合っている訳じゃないのかな...。
あの水族館でのキスも、本気のキスだったのかな...。
突然、唯くんとエリカちゃんがキスをしているシーンを思い出して咳き込んだ。
「あっ、そっかぁ...ヒックッ...
アンタ本当に具合い悪いんだったね...
話しかけて...ごめんね」
そう言うエリカちゃんの言葉に
本当は優しい子なのかなと思う。
相変わらずエリカちゃんは泣き止まない。
────ガラッ
保健室の先生の声がして、先生が用事から戻ってきたんだと思い何故か安心した。
エリカちゃんとの2人きりの保健室は、なんとなく気まずいからだ。
また授業終わりのチャイムが鳴ってから
数分後、唯くんが保健室に来たのであろう
エリカちゃんの嬉しそうな声が聞こえてくる。
私は布団にもぐって、その声が聞こえないようにした。
────また涙が溢れ出てきそうで怖かった。
「石井さん、熱測るので起きて来て下さい」
保健室の先生がそう言う。
私は、言われるがまま熱を測り...
「あら、38.5ね。
結構、
熱があるみたいだから今日は帰りなさい。
保護者の方にも連絡いれておくわね」
私...そんなに熱が上がってきたんだ...。
ちょうど仕事が休みだったお母さんが学校まで迎えに来てくれて、私は家でゆっくり休むことにした。
家にいても、
考えしまうのは唯くんのこと。
私...唯くんにおんぶされてたんだ。
唯くん、本当はどんな気持ちで私をおんぶしてくれたのかな...。
なんだ、
唯くんの優しさは変わってないじゃん。
また、涙が溢れてくる。
しばらく泣いた私は、泣き疲れてようやく眠りにつくことができた。
そして、私は夢を見た。
夢の中で、
疲れている私に優しく話しかけてくる唯くん。
でも、これはあくまで夢の中でだけの出来事。
現実で優しくしてくれる唯くんはもういないんだぁ...。
唯くんは、もうエリカちゃんの彼氏だもんね。
また、悲しくて涙が溢れてくる。
諦めたはずなのに
自分から振ったくせに。
今更、なんで後悔してるんだろう。
エリカちゃんにも、申し訳ないから
────もう唯くんのことは忘れよう。