わたしの初カレ。



息苦しい思いはしていたが、


入場行進が終わった。




そして、とても長い校長先生の話と

準備運動が終わった後で、


いよいよ体育祭の種目の中でプログラム1番目に行われる『借り物競走』が始まった。



私とるるは、この競技には出場しないため、急いで星莉ちゃんがいる救護のテントまで走った。




アナウンスが聞こえないほど、夢中になって星莉ちゃんの元まで走っていた。



すると、私より早く星莉ちゃんの元へ着いたるるが私の方を見てニヤけてきた。



なんでニヤけてるんだろう...。


ん?!


星莉ちゃんがいるはずのテントのところで、


誰かが野球部のプリンスにお姫様抱っこをされている。


待って、もしかしてあのお姫様抱っこされているのは星莉ちゃん?!



驚いてその場で固まっている私の所に、るるが走ってきた。



「ねぇ!!聞いてよ望和〜!!

星莉ってば、あの野球部のプリンスからお姫様抱っこされてるんだよ!!」


説明しよう。


野球部のプリンスとは、
その名の通り、
野球部に所属していたイケメンで、
まさにうちの高校の野球部の王子様だった。



全校生徒は、
野球部のプリンスが3年生であるため野球部を引退しても『野球部のプリンス』と呼んでいる。


そのため、私達もそう呼ぶようにしている。





2年生になって

『野球部のプリンス』が、


どんな顔なのか気になって


私とるると、星莉ちゃんで見に行ったことがある。





本当にイケメンだったからあの時はテンションが上がった。







ちなみに名前は、橋崎 浩司(はしざき こうじ)。




で、なんで星莉ちゃんが野球部のプリンスにお姫様抱っこされているのか疑問に思い、るるにその理由を聞いた。



すると、

それを待っていたかのようにるるが話す。



「それがね!!びっくりするよ〜!!

借り物競走で野球部のプリンスの引いたカードに『好きな人』って書いてあったらしくてね!!」




「えっ?!それってつまり...」





「そうそう!!!」




「え?!野球部のプリンスの好きな人が星莉ちゃんってこと?!」





「そーゆー事よ!!!」







「すっ、すごい!!」



さすが、可愛い星莉ちゃん!!


まさか、野球部のプリンスの好きな人が星莉ちゃんだなんて...。



というか、野球部のプリンスは付き合っている人がいるのかと思った。



だけど、お姫様抱っこされている星莉ちゃんはまだ、体調が戻っていないせいかあまり驚いていない様子だ。






周りの人のひやかしの声と、


羨ましい〜という女子達の声と、


後輩のくせにという声が聞こえてくる。





「でもさ、望和。


星莉って、やっぱり野球部のプリンスに告白されたら付き合ってしまうのかな?」



「え?」




「なんか寂しいな〜と思ってさぁ〜」




「まぁ...確かに寂しいよね...」



「やっぱり寂しいよね!!


だって、3人とも非リア充だったのに、1人だけリア充になるんだよ〜。

いーなぁあ!!」



確かに、星莉ちゃんもずっと私達は非リア充だよって言ってたし...。


それでもイケメンに告白されたら付き合うしかないよね...。



「でもさ、望和。


野球部のプリンスは、優しそうな性格しているしさ!!あの人になら星莉のことを任せられるよね!!」



「確かに!!」



「ちょっと悲しいけどさ〜、


もし星莉が野球部のプリンスと付き合ったら2人のこと応援しよ〜ね!!」




「うん!!」



そうだよね!!


良いカップルは、応援しなきゃだよね。




まあ、まだあの2人がカップルになったかどうかは決まってないけれどね(笑)。






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