君の視線の先は…
あいつの強がり
和水の片想いが終わった。

あっけなく終わった

それも、俺の目の前で……


和也と和也の彼女が俺と和水の前に現れた時、和水は笑顔で『おめでとう!』と和也に言った。


強がりだってすぐにわかった。


和水はニセモノの笑顔を見せていた。


和水は和也から彼女ができたことを聞いていなかったらしい。

そうとうショックだっただろう。


でも、和水は

「しょうがないよ…だって、決めるのは
和也だから」

と、ニセモノの笑顔のまま俺に言った






何で俺の前でも強がってんだよ…


辛いなら辛いっていえよ。


泣きたいなら泣けよ。


なあ、俺はそんなに頼りないのか?


俺だったら、和水にニセモノの笑顔なんてさせねぇ…


絶対に…




俺は和水に聞いた


「お前さ、和也に気持ち伝えないの?」


最低だ。ダメだってわかってるのに和水にとって一番辛いことを聞いた。


伝えたとしても、もう遅いってわかってるのに…



「………伝えられないよ…でも、伝えていたら今を変えられたのかな…」

「後悔してるのか?」

「後悔してるよ。今更後悔しても遅いの
にね」

「……諦めるのか?和也のこと」

「諦めなきゃいけないよね。でもさ、そ
んなに簡単に諦められるような恋じゃ
ないから…こんな終わり方だって、ま
だ受け入れられないよ」

「そうか…そうだよな……」

「うん…」

「でもな、ずっと立ち止まってたらダメ
だと思うぞ?」



……どの口が言うんだよ。自分だってまだ和水のことがまだ好きなくせに…



和水の視線の先にはまだ和也がいる



悲しそうな視線の先に…



なあ、あいつじゃなくて俺をみてよ…



泣きそうな顔するくらいなら、俺をみてよ…笑顔にしてみせるからさ…


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