S系御曹司と政略結婚!?


「で、でも、私はずっと、和也のものだよ……?」

だから、私も溢れそうな本音を届けるために、大好きな人の背中に腕を回したの。

「俺は一生オマエのものだ。……覚悟しとけ」

頭上から降ってきた甘い誘惑に、胸の鼓動は鳴り止まない。幸せが絶え間なく降り注いでくるから。

「じゃ、じゃあ!私を離したら許さないからっ!」

これくらい強気に言っても良いよね?——貴方にしか叶えられない、唯一のわがままを。

「フッ、上等!」

腕の中から顔を上げていた私の唇に、最高の返事とひとつのキスが舞い降りてきた……。



“たったひとつ”の幸せを望んでいた幼い頃の私は、ひとえに永遠を夢見ていた。

だけど、私では手に入らないことが分かってからは、ひとりで諦めて生きていたの。

——投げやりで虚しい人生を変えたのは、大嫌いなヤツとの政略結婚。


絶対に“S”神野なんて好きにならない、そう思っていたのに。

貴方は私の心に遠慮なくずかずか踏み込むと、隠し続けた本音をひきだしてくれた。

守って貰える人の存在で、ひとりじゃないと気づいた安心感。

守りたいと思える人のおかげで、弱さと引き換えに得た勇気。

すべてが自信と誇りとなって、再び前に進めるようになれた。


私のたったひとつは、“S”で優しい貴方が叶えてくれたの。

この幸せな道を、これからは3人で辿って行こうね……?



  【たったひとつ…★終】


< 118 / 123 >

この作品をシェア

pagetop