S系御曹司と政略結婚!?
窮屈なところで勉強しか打ち込めなかったけど、必死に勉強していて良かったと感じられた受験時期。
進学校でもあったから推薦も頂くことが叶って、目当ての大学に進学することが出来た。
私が望んで入学したのは、都内にある私大の文学部史学科だ。
そこは日本史好きには知られた教授がいらして、貴重な資料や蔵書の数も多い。キャンパスも自由を味わえる雰囲気だったこともある。
男女共にレベルが高いと言われる大学らしいけど、そんなのどうでも良かった。
誰にも邪魔されることなく、ひたすら好きなことに打ち込める。この充実感で毎日が満たされていたから。
「……よくこの資料室使ってるよね?どこの学部?」
「……え?私、ですか?」
「ここは今、キミしかいないでしょ」
入学後の私はコンパに誘われても出席することはなく、新しく出来た友人たちと過ごすだけ。
いくつもの講義を受けつつ歴史研究に費やす生活を送る中で、その出会いはあまりにも突然だった。
お宝を探るように蔵書検索していると、近くで聞こえた声に振り返ってしまった。
その先には長身と甘いマスクで有名な人物が立っていて、驚きながら彼を見上げるばかり。
その彼こそが、森口 光希(モリグチコウキ)だった。