S系御曹司と政略結婚!?
未だにプラトニックな関係の私たち。政略結婚、しかも愛のない結婚に必要ないものだった。
好きでもない人に身体を許すのは私の意に反する。一緒に住み始めてから、ずっとそう逃げてきたのに。
「華澄、……もう限界だ」
両頬を包みながら焦がれた声音と視線を向けられ、鼓動は鳴り止むことはない。
目を伏せるとすぐにいつもの柔らかな感覚が唇に触れる。チュ、とリップノイズが何度も響いていく。
咥内を探るように激しく攻められ、身体の力が徐々に抜けていった。
引きそうにない熱が波となって押し寄せ、どんどん頭の中を真っ白にさせていく。
やがてキスの往来が止んでホッとしていると、ドレスの締め付けがなくなった。
胸に顔を埋めたヤツの唇が肌に触れる。その感覚はピリリ、と電気のような熱を持っていた。
耐えきれなくなって声を出すと、いつになく優しい顔で私の頬を撫でてくれて、これまでの嫌悪感が薄れていくのが分かった。
私、ただ流されてるの……?光希のことは忘れたの……?
ううん、どれも違うみたい。この人に触れられて嫌じゃないから。もっと、もっと触れていて欲しい……。
きっと、この人のことが好き、なのかも……。