秘密の花園×名なしの森

「あたしね、生まれも育ちも京都で、関西から出たことなかったの。でも一度だけ、東京行ったことあって……小学生の頃だったから、十歳ぐらいの時かな? ―――……」

 物心付いた頃からあたしは、モデルになることが夢だった。

 ある時、父の知り合いのツテを辿り何度かモデルの仕事をさせてもらった(たしか、少女漫画雑誌のグラビアだったような気がする)。上京したのはこの時だ。けれど結局芽が出ないまま、あたしのモデル時代は終わった。

 そのまま小学校を卒業し、中学校に入学して、卒業した。この頃からだろうか。あたしがこんな風になったのは。

 自分で言うのはなんだけど、あたしの容姿は平均以上で(厭味じゃないよ?)、ある意味自信も持っていた。でも持って生まれたものを磨く努力を惜しまなかった。モデルになるという夢を叶えるために。

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