秘密の花園×名なしの森

 ぱちん。

 突然、両頬に冷たさを感じた。そしてまた突然、思い切り首が捻れる。

「っ?!」

 目の前には、さっき顔を背けた筈のくゆりさんの姿。

 なにが起こったのか。

 二、三度瞬きをしたところで、頬を包んでいるのは彼女の手なのだと気付いた。

 彼女は僕の頬をつねりながら言う。

「人の話は最後まで聞く!」

 半分あちら側に行っていた意識が引き戻された。彼女は泣き虫さんなんだから、と苦笑しながらハンカチで涙を拭いてくれた。

< 118 / 123 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop