秘密の花園×名なしの森
ぱちん。
突然、両頬に冷たさを感じた。そしてまた突然、思い切り首が捻れる。
「っ?!」
目の前には、さっき顔を背けた筈のくゆりさんの姿。
なにが起こったのか。
二、三度瞬きをしたところで、頬を包んでいるのは彼女の手なのだと気付いた。
彼女は僕の頬をつねりながら言う。
「人の話は最後まで聞く!」
半分あちら側に行っていた意識が引き戻された。彼女は泣き虫さんなんだから、と苦笑しながらハンカチで涙を拭いてくれた。